スケートボードやBMX(自転車競技)など、子どもや若者のあいだで人気のエクストリームスポーツ。実は新潟県、このエクストリームスポーツが熱いエリアとして注目を集めているのを知っていますか。

なかでも盛んなスケートボードは、体育の授業で行う地域もあるほどで、子どもたちにとって身近なスポーツのひとつとなっています。そこで今回は、新潟県のスケートボード事情に注目! これから始めたい子も、さらなる上達を目指す子も必見です。

スケートボードの聖地を目指す村上市

東京五輪やエクストリームスポーツの祭典「X GAMES」など、若手日本人選手の活躍が目覚ましいスケートボードは、いまや子どもたちのあこがれのスポーツのひとつ。

山形県との県境に位置する、新潟県村上市。ここに国内外のトップスケーターたちが集まる、スケートボード施設〈村上市スケートパーク〉があります。

村上市といえば、言わずと知れたスノー&スケートボーダーの平野歩夢選手の出身地。さらにスケートボードが「TOKYO2020」の正式種目に採用されたことを受け、市はスケートパークを新築することにしたのです。

村上市スケートパークは、県内でも人気の観光地、瀬波温泉に19年にオープン。村上市産のスギ材を使った温もりある空間で、観客席は290席。ボルダリングやスラックライン施設もあります。冷暖房完備で季節を問わず楽しめるのも魅力。

新しく誕生したスケートパークは、屋内のスケートボード施設としては、国内最大級の規模。約1500平方メートルのアリーナには「パーク」と「ストリート」があり、パークは高さ最大3メートルという世界最高レベルの難易度を誇ります。

ストリートも多数のセクションが配置されており、どちらのエリアも国際大会を行うことのできるレベル。「TOKYO2020」のスケートボード日本代表選手の事前キャンプもここで行われました。

また22年には、スポーツ庁から「ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設(スケートボード)」に指定されており、トップレベルの選手が集中的にトレーニングを行うための拠点にもなっています。

セクション(競技設備)の設計(監修)は、スケートパークの設計・建設において世界的に有名な〈カリフォルニア・スケートパーク社〉によるもの。

村上市が目指すのは、子どもや若者たちがトップアスリートになる夢をかなえられる環境づくり。さらには国内外のスケーターたちが集まる「スケートボードの聖地」となること。

そのために市では、スクールの開講や大会の開催、合宿誘致、スポーツツーリズムの推進など、村上市スケートパークを組み込んださまざまな活動を行っています。

さらにスケートボードをやったことのない子どもたちにも目を向け、その魅力を知ってもらおうと、3年前から修学旅行の受け入れを開始。昨年は県内15の小中学校の生徒たちが同パークを訪れ、スケートボードを楽しんだそうです。

また市内の小学生たちは、体育の授業でスケートボードを習います。これらの体験がきっかけとなって、今まで興味のなかった子どもが本格的にスクールに通い始めるケースもあり、スケートボードは定着しつつあるようです。


多くの子どもたちが参加する、人気教室に潜入!

村上市スケートパークが開催している「初心者体験教室」は、毎回、平均50人ほど、多い日には70人以上の子どもたちが集まる人気教室。

指導にあたるのは、日本スケートボーディング連盟のインストラクターのほか、平野歩夢選手の兄で、プロスケートボーダーの平野英樹選手も。子どもたちは、レベルの高い施設と指導者のもとで、1から学ぶことができます。

今回、体験教室につき添いで来ていたパパやママに、子どもたちがスケートボードを習い始めたきっかけを聞いてみると……「世界を舞台に活躍している選手たちに触発された」、「体育の授業でそのおもしろさに開眼した」、「スノーボードのオフシーズンに楽しめるスポーツを探していた」などさまざま。

そのほか「恐怖心が芽生える前から始めさせたかった」、「幼いうちからバランス感覚を養いたかった」と、4歳や5歳といった幼い子どもを持つ親御さんならではの声もありました。

最初はできなくて泣いてばかりいた子もワザを覚えていくに従って、そのおもしろさに魅了されていくそう。教室に通い始めてから、「何事にも自分から進んで行動するようになった」という声も。

またスケートボードは、順位の優劣よりも、仲間や観客と一体になって「楽しむ」ことに重点を置いたスポーツ。年齢の壁を超えて、互いのパフォーマンスを素直にほめ合う、そんなスタイルが気に入っているという子も多くいました。

グータッチやハイタッチをしたり、グッジョブサインを送ったり。互いにたたえ合うことを学ぶ子どもたち。
初心者体験教室は、毎週火曜日19〜21時の2時間。年齢制限がないので、親子での参加も可能です。

教室は1回300円のワンレッスン制のため、ちょっと試してみたいという子も気軽に参加できます。また中級クラスもあるので、初級を卒業した子は、さらなるレベルアップを目指すことも。同スクールで育った選手が、すでに日本選手権大会で優秀な成績を収めています。

また、週に1度の練習ではものたりない! という子のために、市では、使われなくなったテニスコートも開放。安全な環境で練習できます。

スケートボードを楽しみたい子どもたちにとって理想的な環境が整っている村上市。まずは世界レベルのスケートパークを体感してみてはいかがでしょう。

Information

村上市スケートパーク

address:新潟県村上市瀬波温泉3-2-22
tel:0254-53-8802
access:日本海東北自動車道「村上瀬波温泉IC」より車で約10分
web:村上市スケートパーク
Instagram:@murakami_city_skatepark


まだまだある新潟県内のスケートパーク施設

村上市スケートパーク以外にも、2023年夏にオープンしたばかりのニューフェイスをはじめ、新潟県には魅力的なスケートパークがまだまだあります。そこで注目の3施設を紹介。

2023年夏に登場した注目パーク
〈AIRMAN(エアマン)スケートパーク〉

「安心してスケートボードを楽しめる場所をつくってほしい」という地域の人たちの声を受け、2023年7月、新潟市の「新潟県スポーツ公園」内に開設された県営の施設。新潟市内中心部という便利な立地にあり、市内初のフルコンクリートのスケートパークとして注目を集めています。

コンセプトは「皆が楽しめ、また来たいと思えるスケートパーク」。2000平方メートルの滑走エリアは、高低差90センチ〜2メートルの起伏がある「パーク」をはじめ、「ストリート」「屋内」の3エリアにわかれています。

全体的に控えめなサイズのセクションが多く、上級者はもちろん、初中級者も練習しやすいパーク構成になっているのが特長。

「子どもたちには楽しみながら上達する喜びや自信を身につけ、生き生きと成長してほしい」と担当者は話します。

毎週木曜日の19時と20時からは、初心者向けのスクールを開講(定員各20名)。親子での参加も可能なので、ひとりでは不安という人も始めやすいですね。

Information

AIRMANスケートパーク

address:新潟県新潟市中央区清五郎193-2
tel:025-287-5089
access:新潟駅南口番乗り場から「ビッグスワン前」または「スポーツ公園前」下車 所要時間約20分 新潟県スポーツ公園内
web:AIRMANスケートパーク
Instagram:@airman_skatepark

市民団体が運営するアットホームな施設
「上越アクティブスポーツパーク」

「遊び要素」「挑戦する要素」「楽しめる要素」の3拍子そろった、エクストリームスポーツやアウトドアスポーツを、子どもたちをはじめ多くの人に体験し、楽しんでもらいたいと、市民団体〈上越アクティブスポーツ協会〉によって運営されている屋内型のスポーツ施設。

スケートパークは同団体の手づくり。フラットスペースと緩やかなバンクを設けた「初心者優先エリア」をはじめ、パンプトラックやジャンプランプが配置された「Rエリア」、ダウンレールやピラミッドがある「ストリートエリア」などのセクションがあり、レベルに合わせて練習できます。平日は地元の子どもたちや若者が中心ですが、週末は長野県や富山県からの参加者もあるそう。

自分の好きなときに、好きなだけ練習できる自由度の高さを大切にしてもらいたいと、スクールは不定期に開催。

「上手い・下手を比べるのではなく“いいところ探し”をして他者をリスペクトする気持ちを育んでほしい」と、スケートボードの大会などでよく見られるライバルを称える姿勢を大切にしています。

Information

上越アクティブスポーツパーク

address:新潟県上越市富岡539-7
access:北陸自動車道「上越IC」より車で約8分
web:上越アクティブスポーツ協会
Instagram:@joetsu_activesports

県内最大級の広さを誇る
「南魚沼市スケートパーク」

大自然に囲まれた複合スポーツ施設「小栗山(こぐりやま)サンスポーツランド」内にある、全面コンクリートのスケートパーク。地元スケーターたちの要望もあり、子どもや若者が集まれるコミュニケーションの場として、またトップスケーターを目指すジュニア育成の場として、2018年に開設されました。

特筆すべきは 2100平方メートルという県内最大級の広さ。敷地内には、浅めのアールセクション「ミドルゾーン」やレール、モヒカン、バンクなどに、ゲート風のアールセクションを組み合わせた「ストリートコース」など、8つのエリアが設けられています。ゆとりを持たせたバランスのいいレイアウトなので、初心者の練習にも最適。

スケートボードのほか、インラインスケート、BMXの利用も可能。ハーフパイプのようなフリースタイル競技の夏場の練習にも活用できます。

初心者向けのスクールが開かれており、生徒数は現在50人ほど。市内のほか、長岡市や三条市、遠くは東京都からの参加もあるそう。また冬期閉鎖のため、営業は4月から11月まで。

子どもをはじめ若者が集まりやすいコミュニケーションの場として、他の利用者を思いやる心が育成されます。

Information

南魚沼市スケートパーク(公益財団法人 南魚沼市文化スポーツ振興公社)

address:新潟県南魚沼市小栗山1634番地2 小栗山サンスポーツランド内
tel:025-772-7567
access:関越自動車道「六日町IC」より車で約8分
web:南魚沼市スケートパーク
Instagram:@minamiuonuma_city_skate_park

credit  text:矢島容代 photo:今井達也